カブリオール(Cabriole)
S字形に湾曲した造形をもつ形式のことを指し、家具の脚部などに用いられました。
動物の脚をイメージしたことから、日本では猫脚や獣足などとも呼ばれます。
中国での宝玉を掴む竜脚のデザインに由来し、オランダ貿易によって17世紀後期にヨーロッパにもたらされました。
フランスではルイ14世(1643-1715)期後半に取り入れられ、やがてロココ様式と融合していきます。
ロココ様式における、貝殻、葡萄、植物葉飾、渦巻き、アラベスク模様などの彫刻モチーフが融合され、カブリオールレッグの膝部分にも貝殻模様の彫刻が多く施されました。
ロココ様式からやがてチッペンデール様式へとカブリオールレッグは引き継がれていきます。
イギリスではアン女王(1702-1714)の治世期に取り入れられました。
古典主義的で優雅なフォルムを重視したクイーンアン様式は、アン女王の人気と相まってとても流行しました。
前時代の東洋趣味を引き継ぎつつも、シンプルで軽快であるクイーンアン様式に、カブリオールレッグはとてもマッチしました。
カブリオールとはフランス語のダンス用語で“弾む”とか“飛び跳ねる”という意味です。
軽快で優雅なデザインを表現するに、ダンスで跳躍するさまを指す言葉をあてたのでしょうが、なんとも絶妙なネーミングだと感じます。