骨董 アンティーク 茶室 花籠 風炉 幕末 明治 岡倉天心 茶の本

風炉の季節

【花籠/幕末-明治期 日本】

颯然とした花籠の姿が、暑い季節の気持ちを涼やかにしてくれます。
お気に入りの花だけでなく野山の花を無造作に挿しても美しく調和します。

茶席で飾る季節の花を入れる器のなかで、竹や籐などで編まれた花入れを花籠と呼びます。
茶道では季節に準じた茶花を生けるのが習慣で、花籠はちょうど今頃の時期・・・風炉の時季(5月~10月頃)に使用されるものになります。

茶道における季節は、“炉の季節”と“風炉の季節”の2つに分けられます。
炉とは畳の下に備え付けられている小さな囲炉裏で、ここに釜を置きそこでで湯を沸かし茶を点てるわけです。
この“炉”は季節によって使い分けられます。5~10月頃の夏季に使われるものを「風炉」、11月~4月の冬季に使われるものを「炉」と呼びます。

暑い季節に、お客様の目の前で火を使うと、体感でも外観でも暑苦しくなってしまいますので、炉を閉めて釜をお客様から遠ざけられます。
反対に寒い季節には、炉が近いところに置かれることで、火とお客様の距離も近くなり茶室も暖かくなります。
つまり、炉と風炉の使い分けはお客様へのおもてなしの一環なわけです。

近代日本美術の発展に大きな功績を果たし、その優れた価値を世界に知らしめた美術運動家・岡倉天心。彼の書物に、明治39年(1906年)に英文で書きニューヨークで出版した「茶の本 (The Book of Tea)」という名著があります。当時の欧米でベストセラーとなり、今も世界中で読み継がれています。
この本のなかで岡倉天心、茶室の中で美を通して人々を結びつける心の働きこそが茶道の本質と唱えました。
とは言え「茶の本」は茶道の解説書などではなく、近代欧米の物質主義的文化と対比して、日本の伝統精神文化の真髄を浮かび上がらせ、日本人が何を良しとし何を美しいとしたかの美意識に迫る思想書です。(対訳版もありますのでぜひ読んでみてください)。

岡倉天心は、茶の本の第六章「花」で、『喜びにも悲しみにも、花はわれらの不断の友である。(中略) 花がなくては死んでも行けぬ。』と書いています。

よし、今日は家に花を飾ろう!。
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