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心をゆるめてくれるモノ
ガラス瓶に名前も知らない草木を挿してみました。 花瓶に切り花を挿して飾ると、インテリアに潤い与えてくれるので気分まで明るくなるのですが、こうした「ただのガラス瓶に、なんでもないような草木を挿す」のも・・・なにか好きなんですよね。 このガラス瓶は、光が抜けないと黒色に見えるくらい深い緑色のガラスで出来ています。瓶の中身の品質を維持するためには、光の影響を受けにくい茶色ガラスや緑色ガラスが適しているのだそうです。 ボトルの肩には、KRASとエンボスされた丸型のガラス製の“シール”があります。こうしたシールには、個人の名前やイニシャル・紋章や家紋、居酒屋や商業施設の店名、ボトルに何が入っているかを示す文字やデザイン、商人や醸造家のマーチャントマーク、製造業者の識別マークや商標マーク、時には日付などが刻まれています。 シールは、製造工程の最終段階でボトルの製造業者によって施されました。ガラスボトル(吹きガラスまたは成型ガラス)がまだ温かいうちに“小さな溶けたガラスの塊”を置き、そこに文字やマークが刻まれた金型をスタンプのように押し付けて作られました。 シールが施されたガラスボトルの最古の記録は、1571年にまで遡るというのだから驚きです。元々はワイン用のガラスボトルにこうしたシールが施されました。その頃はワイン自体が高価でしたが、ガラスボトルに入ったワインはさらに高価なものでした。シールに刻印された個人の名前・イニシャル・紋章などは、ワインの所有権を示すだけでなく、ある種のステータスシンボルとしても機能したのだそうです。 今回撮ったボトルは、ワインボトルではありません。フォルムやガラス色を見ますと、ベネディクティン(フランス産のブランデーベースのリキュール)の古いボトルに良く似ているのですが、ベネディクティンボトルとはシール部分のデザインが全く違います。また、シールにある“KRAS”という文字も何を示しているのか分かりません。各部の特徴から20世紀前期頃のリキュールボトルと推察されますが、それ以上はいまのところ不明です。ボトルマニア(?)の方で分かるかたがいらっしゃったら、ぜひ教えてください。 さて、細かなウンチクは横に置いておきましょう。 こうした、「ただのガラス瓶に、なんでもないような草木を挿す」の、その気負い過ぎていない立ち姿が好きなんですよね。そんなに気を張らないでリラックスしていいんだよ・・・感が出ていて心がほっとします。 必要以上に力んでしまうことの多い現代生活。日々の暮らしのなかに、こうした“心をゆるめてくれるモノ”を取り入れてみてください。
心をゆるめてくれるモノ
ガラス瓶に名前も知らない草木を挿してみました。 花瓶に切り花を挿して飾ると、インテリアに潤い与えてくれるので気分まで明るくなるのですが、こうした「ただのガラス瓶に、なんでもないような草木を挿す」のも・・・なにか好きなんですよね。 このガラス瓶は、光が抜けないと黒色に見えるくらい深い緑色のガラスで出来ています。瓶の中身の品質を維持するためには、光の影響を受けにくい茶色ガラスや緑色ガラスが適しているのだそうです。 ボトルの肩には、KRASとエンボスされた丸型のガラス製の“シール”があります。こうしたシールには、個人の名前やイニシャル・紋章や家紋、居酒屋や商業施設の店名、ボトルに何が入っているかを示す文字やデザイン、商人や醸造家のマーチャントマーク、製造業者の識別マークや商標マーク、時には日付などが刻まれています。 シールは、製造工程の最終段階でボトルの製造業者によって施されました。ガラスボトル(吹きガラスまたは成型ガラス)がまだ温かいうちに“小さな溶けたガラスの塊”を置き、そこに文字やマークが刻まれた金型をスタンプのように押し付けて作られました。 シールが施されたガラスボトルの最古の記録は、1571年にまで遡るというのだから驚きです。元々はワイン用のガラスボトルにこうしたシールが施されました。その頃はワイン自体が高価でしたが、ガラスボトルに入ったワインはさらに高価なものでした。シールに刻印された個人の名前・イニシャル・紋章などは、ワインの所有権を示すだけでなく、ある種のステータスシンボルとしても機能したのだそうです。 今回撮ったボトルは、ワインボトルではありません。フォルムやガラス色を見ますと、ベネディクティン(フランス産のブランデーベースのリキュール)の古いボトルに良く似ているのですが、ベネディクティンボトルとはシール部分のデザインが全く違います。また、シールにある“KRAS”という文字も何を示しているのか分かりません。各部の特徴から20世紀前期頃のリキュールボトルと推察されますが、それ以上はいまのところ不明です。ボトルマニア(?)の方で分かるかたがいらっしゃったら、ぜひ教えてください。 さて、細かなウンチクは横に置いておきましょう。 こうした、「ただのガラス瓶に、なんでもないような草木を挿す」の、その気負い過ぎていない立ち姿が好きなんですよね。そんなに気を張らないでリラックスしていいんだよ・・・感が出ていて心がほっとします。 必要以上に力んでしまうことの多い現代生活。日々の暮らしのなかに、こうした“心をゆるめてくれるモノ”を取り入れてみてください。

百年一日
日々の流行に乗ってみたり追いかけてみたり、疲れてみたり無視してみたり・・・。誰もがそんな経験ってありますよね。「流行」を辞書でひくと、以下のように書かれていました。●ある様式や風俗が世間に広く行われ、用いられること。●その時代の好みに合って一時的に世の中に広く行われるもの。流行は、ブーム、トレンドなどの言葉に置き換えることができます。今風で言うと“バズる”も同様でしょうか。ファッション、髪型、メイクなどが顕著なジャンルと言え、ほかにも建築、インテリア、自動車、家電、食べ物から、音楽、言葉や思想、色や匂いに至るまで流行があります。流行とはその時代の動きや潮流といった動向なので、あらゆるジャンルに存在するものです。(アンティーク業界は本質的には流行に左右されにくいと言えるジャンルですが、特定の分野の人気が高まったりその反対に下がったり、サイズや色合いなどの要望にも動向があったりします。)流行にはサイクルがあります。●ひとつの形式や様式が、その時代の好みに合って、世間に広く行われる、用いられる。●それが落ち着き、衰退する。●一度すたれたものが、見直し・再評価・懐古・回顧されて、リバイバル・復興・再燃・返り咲き・再現・復活、して用いられる。こうした流行のサイクルは、一般的には20年周期とされています。流行のサイクルは、寄せては返す「波」に例えられ、流行の波とも表現されます。社会情勢や文化の変化、新たな技術・素材の導入、メディア環境などと連動して流行が生まれます。その波が去って過去のコンテンツとなっても、時間経過とともに再評価・再編集され、次の流行の起こりへと影響を及ぼしていきます。流行の語源は「物事が、流れる河のごとく世間に流布する」意味を表す漢語だそうです。まさに流れる河のごとく移ろっていくのですね。つまりモノやコトは20年も経つと、古臭くて時代遅れになってしまう・・・ということでしょうか。さて、前置きが長くなりましたが、ここでやっと画像のお話になります。まずは画像左側に写る、ひとつの黒いジャグ。この黒いジャグはJackfield Potteryのジェットウェア・ジャグで、1880-1900年頃のイギリス製のものです。黒い釉薬がかかった本体に、ハンドペイントで金彩とエナメル彩が施された豪華な水差しです。Jackfield Pottery(ジャックフィールド陶器)とは会社名でもあり、光沢のある黒い釉薬で装飾された陶器の総称名・様式名でもあります。Jackfield Potteryは、1713年にリチャード・サースフィールドにより、イングランドのシュロップシャー州アイアンブリッジ渓谷のセヴァーン川南岸にある小さな町・ジャックフィールドに設立されました。その地でサースフィールドと息子モーリスたちは、光沢のある黒い鉛釉を使った黒いやきものを製造しました。灰色から紫がかった黒色の焼成粘土で素地を作り、そこに光沢のある黒鉛釉が通常は容器の内側と外側の両方に塗られているという点でユニークなもので、その作風からブラックウェア、または日本の黒漆器にちなんでジャパニングウェアとも呼ばれていました。最も優れた作品群は、1760年から1772年の間に作られた型模様や金箔で装飾されたものとされます。ジャックフィールド陶器は、1740-1760年頃に最も人気を博しましたが、流行の波が去った1770年頃からは衰退の一途をたどります。しかし、そこから約100年が経った1870-1880年頃に、ジャックフィールドタイプの釉薬が復活・復興を遂げます。復興のキーワードは「黒」でした。復興されたジャックフィールド製品は、本家ジャックフィールド陶器とは少し製法が変わり、厚いテラコッタまたは白い陶器の素地に鉛釉ではないタイプの黒釉をかけたものでした。このリバイバル型ジャックフィールドは、ジェットウェアと呼ばれることもあります。画像内の黒いジャグも、このジェットウェアです。::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::少々脱線、ジェットウェアの“ジェット”とは?ジェットとは、古代の松や柏などの樹木(樹脂)が長い年月をかけて圧縮されて炭化した化石のことです。 和名は黒玉(こくぎょく)と言います。古くはアンバー(琥珀)と考えられていた名残から、ブラックアンバー(黒琥珀)と呼ばれることもあります。ジェットの原石は石炭のような真っ黒の塊なのですが、磨き上げることで、気品溢れる落ち着いた漆黒の輝きを持つようになり、漆黒の宝石とも称されます。人類最古の宝石のひとつとされ、その歴史は石器時代まで遡ります(ドイツやスイスの遺跡から紀元前1万年から装飾品として使用されていたことが判明しています)。1861年にイギリスエリザベス女王がモーニングジュエリーとして身につけたことがきっかけでイギリスを中心にヨーロッパで“大流行”しました。イングランド北東部にある北海沿岸の町ウィットビーが、ジェットの一大採掘地でした。人気の最盛期にはジェットジュエリーやその他の装飾品を作る工場がおよそ200件あったと言われていて、この地のジェットジュエリー製作の最盛期は1870年代とされます。::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::つまり、ジャックフィールド様式の黒いやきものは、黒が流行していた時期だからこそ求められ、その求めに応じて復興したと言えます。・・・とまあ、左側に写る黒いジェットウェアジャグはそんな背景(物語)をもったアンティークの品物になります。さて次は、画像右側に写る他のたくさんの小さなマグ。これらは、スーベニアマグです。いわゆるお土産物ですね。ヨーロッパ各地の観光地ではスーベニアスプーンと並んで定番のお土産品ですから、海外旅行の際に見かけたこともあるのではないでしょうか。施される絵付けは、当然ながらその観光地にちなんだものです。素材やフォルムも様々で、なかなかどうして可愛らしいです。アクセサリー入れや、一輪挿し、アロマポットなどに使っても良いですし、爪楊枝たてなどに見立てても面白いです。とは言え、アンティークと呼べるほど古いモノではなく、古くてもせいぜい1980年頃くらいなものでしょう。海外旅行の記念として購入するモノの定番ではありますが、なんとなく昭和の海外旅行のイメージがあります(あくまでも私見です)。昔、国内旅行で観光地のペナントとか買いませんでしたか?なにか、ああゆうノリの海外旅行版と言うか・・・(あくまでも私見ですよ!)。そう、ペナント。あの観光地に旅行に行けば必ず売っていた、二等辺三角形の旗に観光地と名所がドーンと描かれたアレです。少し調べたところ、1970年代から80年代にかけて一世を風靡したペナント・ブームはすでに過ぎ去っており、今では日本屈指の観光地である京都ですらお土産屋で見つけるのは難しそうです。閑話休題、話を戻します。今回、並べて撮った黒いジャグと小さいマグ。この両者の間には、時間にして約100年の開きがあります。(人に置き換えたら、ちょうど黒いジャグが曽祖父・曾祖母で、小さいマグが曾孫くらいの差ですね。)時間軸や背景の異なるこの両者を、いま同時に並べて撮ってみましたが存外すんなり絵になるものだなあと感じました。背景をひっくるめて今に残ってきたもの巡ってきたもの・・・とでも言いましょうか。「物事は、流れる河のごとく」繋がっているのだな、と再認識したところです。十年一日どころか、百年一日。時を重ねるということは、流行の波を含めて多くのものを受け入れる懐の深さを持っているさまなのかもしれませんね。(私自身も、そういう大らかな心持でいたいと日々思ってはいるのですが、なかなかどうして思うようにはいかないものです・・・。 アンティークの愉しみかたにはこんな視点もあります、というお話でした。
百年一日
日々の流行に乗ってみたり追いかけてみたり、疲れてみたり無視してみたり・・・。誰もがそんな経験ってありますよね。「流行」を辞書でひくと、以下のように書かれていました。●ある様式や風俗が世間に広く行われ、用いられること。●その時代の好みに合って一時的に世の中に広く行われるもの。流行は、ブーム、トレンドなどの言葉に置き換えることができます。今風で言うと“バズる”も同様でしょうか。ファッション、髪型、メイクなどが顕著なジャンルと言え、ほかにも建築、インテリア、自動車、家電、食べ物から、音楽、言葉や思想、色や匂いに至るまで流行があります。流行とはその時代の動きや潮流といった動向なので、あらゆるジャンルに存在するものです。(アンティーク業界は本質的には流行に左右されにくいと言えるジャンルですが、特定の分野の人気が高まったりその反対に下がったり、サイズや色合いなどの要望にも動向があったりします。)流行にはサイクルがあります。●ひとつの形式や様式が、その時代の好みに合って、世間に広く行われる、用いられる。●それが落ち着き、衰退する。●一度すたれたものが、見直し・再評価・懐古・回顧されて、リバイバル・復興・再燃・返り咲き・再現・復活、して用いられる。こうした流行のサイクルは、一般的には20年周期とされています。流行のサイクルは、寄せては返す「波」に例えられ、流行の波とも表現されます。社会情勢や文化の変化、新たな技術・素材の導入、メディア環境などと連動して流行が生まれます。その波が去って過去のコンテンツとなっても、時間経過とともに再評価・再編集され、次の流行の起こりへと影響を及ぼしていきます。流行の語源は「物事が、流れる河のごとく世間に流布する」意味を表す漢語だそうです。まさに流れる河のごとく移ろっていくのですね。つまりモノやコトは20年も経つと、古臭くて時代遅れになってしまう・・・ということでしょうか。さて、前置きが長くなりましたが、ここでやっと画像のお話になります。まずは画像左側に写る、ひとつの黒いジャグ。この黒いジャグはJackfield Potteryのジェットウェア・ジャグで、1880-1900年頃のイギリス製のものです。黒い釉薬がかかった本体に、ハンドペイントで金彩とエナメル彩が施された豪華な水差しです。Jackfield Pottery(ジャックフィールド陶器)とは会社名でもあり、光沢のある黒い釉薬で装飾された陶器の総称名・様式名でもあります。Jackfield Potteryは、1713年にリチャード・サースフィールドにより、イングランドのシュロップシャー州アイアンブリッジ渓谷のセヴァーン川南岸にある小さな町・ジャックフィールドに設立されました。その地でサースフィールドと息子モーリスたちは、光沢のある黒い鉛釉を使った黒いやきものを製造しました。灰色から紫がかった黒色の焼成粘土で素地を作り、そこに光沢のある黒鉛釉が通常は容器の内側と外側の両方に塗られているという点でユニークなもので、その作風からブラックウェア、または日本の黒漆器にちなんでジャパニングウェアとも呼ばれていました。最も優れた作品群は、1760年から1772年の間に作られた型模様や金箔で装飾されたものとされます。ジャックフィールド陶器は、1740-1760年頃に最も人気を博しましたが、流行の波が去った1770年頃からは衰退の一途をたどります。しかし、そこから約100年が経った1870-1880年頃に、ジャックフィールドタイプの釉薬が復活・復興を遂げます。復興のキーワードは「黒」でした。復興されたジャックフィールド製品は、本家ジャックフィールド陶器とは少し製法が変わり、厚いテラコッタまたは白い陶器の素地に鉛釉ではないタイプの黒釉をかけたものでした。このリバイバル型ジャックフィールドは、ジェットウェアと呼ばれることもあります。画像内の黒いジャグも、このジェットウェアです。::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::少々脱線、ジェットウェアの“ジェット”とは?ジェットとは、古代の松や柏などの樹木(樹脂)が長い年月をかけて圧縮されて炭化した化石のことです。 和名は黒玉(こくぎょく)と言います。古くはアンバー(琥珀)と考えられていた名残から、ブラックアンバー(黒琥珀)と呼ばれることもあります。ジェットの原石は石炭のような真っ黒の塊なのですが、磨き上げることで、気品溢れる落ち着いた漆黒の輝きを持つようになり、漆黒の宝石とも称されます。人類最古の宝石のひとつとされ、その歴史は石器時代まで遡ります(ドイツやスイスの遺跡から紀元前1万年から装飾品として使用されていたことが判明しています)。1861年にイギリスエリザベス女王がモーニングジュエリーとして身につけたことがきっかけでイギリスを中心にヨーロッパで“大流行”しました。イングランド北東部にある北海沿岸の町ウィットビーが、ジェットの一大採掘地でした。人気の最盛期にはジェットジュエリーやその他の装飾品を作る工場がおよそ200件あったと言われていて、この地のジェットジュエリー製作の最盛期は1870年代とされます。::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::つまり、ジャックフィールド様式の黒いやきものは、黒が流行していた時期だからこそ求められ、その求めに応じて復興したと言えます。・・・とまあ、左側に写る黒いジェットウェアジャグはそんな背景(物語)をもったアンティークの品物になります。さて次は、画像右側に写る他のたくさんの小さなマグ。これらは、スーベニアマグです。いわゆるお土産物ですね。ヨーロッパ各地の観光地ではスーベニアスプーンと並んで定番のお土産品ですから、海外旅行の際に見かけたこともあるのではないでしょうか。施される絵付けは、当然ながらその観光地にちなんだものです。素材やフォルムも様々で、なかなかどうして可愛らしいです。アクセサリー入れや、一輪挿し、アロマポットなどに使っても良いですし、爪楊枝たてなどに見立てても面白いです。とは言え、アンティークと呼べるほど古いモノではなく、古くてもせいぜい1980年頃くらいなものでしょう。海外旅行の記念として購入するモノの定番ではありますが、なんとなく昭和の海外旅行のイメージがあります(あくまでも私見です)。昔、国内旅行で観光地のペナントとか買いませんでしたか?なにか、ああゆうノリの海外旅行版と言うか・・・(あくまでも私見ですよ!)。そう、ペナント。あの観光地に旅行に行けば必ず売っていた、二等辺三角形の旗に観光地と名所がドーンと描かれたアレです。少し調べたところ、1970年代から80年代にかけて一世を風靡したペナント・ブームはすでに過ぎ去っており、今では日本屈指の観光地である京都ですらお土産屋で見つけるのは難しそうです。閑話休題、話を戻します。今回、並べて撮った黒いジャグと小さいマグ。この両者の間には、時間にして約100年の開きがあります。(人に置き換えたら、ちょうど黒いジャグが曽祖父・曾祖母で、小さいマグが曾孫くらいの差ですね。)時間軸や背景の異なるこの両者を、いま同時に並べて撮ってみましたが存外すんなり絵になるものだなあと感じました。背景をひっくるめて今に残ってきたもの巡ってきたもの・・・とでも言いましょうか。「物事は、流れる河のごとく」繋がっているのだな、と再認識したところです。十年一日どころか、百年一日。時を重ねるということは、流行の波を含めて多くのものを受け入れる懐の深さを持っているさまなのかもしれませんね。(私自身も、そういう大らかな心持でいたいと日々思ってはいるのですが、なかなかどうして思うようにはいかないものです・・・。 アンティークの愉しみかたにはこんな視点もあります、というお話でした。

夏の思い出
画像を整理していたら、浜松市に工房を構える染色家の山内武志さんを訪れた時のものが出てきました。12年くらい前のちょうど夏の頃です。 水鉢に咲いた黄色い睡蓮が美しいです。紺屋を営む家に生まれた山内さんは、人間国宝の染色家・芹沢銈介氏に師事して技の研鑽を積み、その感性に磨きをかけた独自のモダンな世界観を確立させています。ひとつひとつの工程に一切妥協しない丹念な手仕事には、伝統工芸を紡いできた先人達への敬意と、染めと向き合い続けている の染色家の誇りを感じます。染色家の山内武志さんは、浜松駅近くの「アトリエぬいや」の店主でもあります。そこでは、山内染色工房の型染めの直営販売と、諸国の工藝品・手仕事の品々を展示販売しています。面白いモノがいっぱいありますのでぜひチェックしてみてください。山内さんと父が友人関係だったこともあり、文字どおり子供の頃からお世話になってきました。工藝に臨むその姿勢と矜持・モノに対峙するその純真と活力は、私にとって示唆に富んだものであり、自身の視野を広げるものとなっています。山内染色工房の庭先に置かれた四耳壺が素敵です。こういったモノをトラディションと観るか、はたまたモダンと観るか。素朴。けれど洗練。ありふれた日常からも学ぶべきことはたくさんありますよね。広い観点でモノを観ることを忘れないように努めていきたいと思います。12年前の画像をみてふとそんなことを思いました。
夏の思い出
画像を整理していたら、浜松市に工房を構える染色家の山内武志さんを訪れた時のものが出てきました。12年くらい前のちょうど夏の頃です。 水鉢に咲いた黄色い睡蓮が美しいです。紺屋を営む家に生まれた山内さんは、人間国宝の染色家・芹沢銈介氏に師事して技の研鑽を積み、その感性に磨きをかけた独自のモダンな世界観を確立させています。ひとつひとつの工程に一切妥協しない丹念な手仕事には、伝統工芸を紡いできた先人達への敬意と、染めと向き合い続けている の染色家の誇りを感じます。染色家の山内武志さんは、浜松駅近くの「アトリエぬいや」の店主でもあります。そこでは、山内染色工房の型染めの直営販売と、諸国の工藝品・手仕事の品々を展示販売しています。面白いモノがいっぱいありますのでぜひチェックしてみてください。山内さんと父が友人関係だったこともあり、文字どおり子供の頃からお世話になってきました。工藝に臨むその姿勢と矜持・モノに対峙するその純真と活力は、私にとって示唆に富んだものであり、自身の視野を広げるものとなっています。山内染色工房の庭先に置かれた四耳壺が素敵です。こういったモノをトラディションと観るか、はたまたモダンと観るか。素朴。けれど洗練。ありふれた日常からも学ぶべきことはたくさんありますよね。広い観点でモノを観ることを忘れないように努めていきたいと思います。12年前の画像をみてふとそんなことを思いました。

風炉の季節
【花籠/幕末-明治期 日本】 颯然とした花籠の姿が、暑い季節の気持ちを涼やかにしてくれます。 お気に入りの花だけでなく野山の花を無造作に挿しても美しく調和します。茶席で飾る季節の花を入れる器のなかで、竹や籐などで編まれた花入れを花籠と呼びます。茶道では季節に準じた茶花を生けるのが習慣で、花籠はちょうど今頃の時期・・・風炉の時季(5月~10月頃)に使用されるものになります。茶道における季節は、“炉の季節”と“風炉の季節”の2つに分けられます。炉とは畳の下に備え付けられている小さな囲炉裏で、ここに釜を置きそこでで湯を沸かし茶を点てるわけです。この“炉”は季節によって使い分けられます。5~10月頃の夏季に使われるものを「風炉」、11月~4月の冬季に使われるものを「炉」と呼びます。暑い季節に、お客様の目の前で火を使うと、体感でも外観でも暑苦しくなってしまいますので、炉を閉めて釜をお客様から遠ざけられます。反対に寒い季節には、炉が近いところに置かれることで、火とお客様の距離も近くなり茶室も暖かくなります。つまり、炉と風炉の使い分けはお客様へのおもてなしの一環なわけです。近代日本美術の発展に大きな功績を果たし、その優れた価値を世界に知らしめた美術運動家・岡倉天心。彼の書物に、明治39年(1906年)に英文で書きニューヨークで出版した「茶の本 (The Book of Tea)」という名著があります。当時の欧米でベストセラーとなり、今も世界中で読み継がれています。この本のなかで岡倉天心、茶室の中で美を通して人々を結びつける心の働きこそが茶道の本質と唱えました。とは言え「茶の本」は茶道の解説書などではなく、近代欧米の物質主義的文化と対比して、日本の伝統精神文化の真髄を浮かび上がらせ、日本人が何を良しとし何を美しいとしたかの美意識に迫る思想書です。(対訳版もありますのでぜひ読んでみてください)。岡倉天心は、茶の本の第六章「花」で、『喜びにも悲しみにも、花はわれらの不断の友である。(中略) 花がなくては死んでも行けぬ。』と書いています。よし、今日は家に花を飾ろう!。
風炉の季節
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HPをリニューアルしました
今夏、10年ぶりにHPをリニューアルしました。シンプルで見やすくなったと思います。 楽しい品々をご紹介していきますので、インスタグラムともどもチェックしてみてください。 画像は、ガラス製ケーキスタンドに水を張り、そこにキバナコスモスの花を浮かべたものです。夏らしく涼しげでありながら、ビタミンカラーが元気な気持ちを感じさせてくれるディスプレーです。 暑い季節にはやはりガラスがよく合いますね。ぜひともガラス器の清涼感を楽しんでみてください。
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