アンティークへのこだわり
経年美を楽しむ
古いものが持つ魅力、アンティークの魅力・・・とは、なんでしょう。
色々な見どころを挙げることができます。
熟練職人の高い技術、労を惜しまない技法、厳選された素材、様式や造形、伝統と革新の歴史、そして“経年美”です。
経年美とは、時とともに色合いや質感などが変化して美しさが増していくことを指します。
いまアンティークと呼ばれるモノも、初めからアンティークの味わいを持って生まれたわけではなく、作られた当時は新品でした。
それらが、年月とともに風情を深め美しさを増し、より魅力的なものへ経年美化を起こしてアンティークと呼ばれるようになったのです。
時の経過が織りなす趣き。
これが溶け合うことで纏った味わいや雰囲気を、パティーナ(=Patina/時間をかけてできた古艶)と言います。
是非、このパティーナを経年美を楽しんでください。
日本人の、変化する経過に美しさを見いだす“侘び”や“寂び”といった美学や、言葉では表わせないような抽象的なものを表象化する感性にも通じるものがあります。
禅や茶の湯、絵画や庭園、俳諧や能楽と、西洋アンティーク。
洋の東西は違えど、先人たちはその根底に共通する美意識を持っていたのでしょう。
これまでの経年美を堪能し、これからの経年をともに楽しむという感覚。
現状にある美しさや意義を見出し、それを大切にする姿勢。
こういった精神的価値も、古いものが持つ魅力、アンティークの魅力のひとつであると考えます。
オリジナルの趣きを大切にしつつ
パティーナなどのアンティーク固有の価値観を基に、仕入れ時から、そのモノに宿るオリジナルの趣きを大切にすることを心がけています。
極力手を加えなくて済むような、良いコンディションのモノを厳選しています。
100年の時間をかけてこつこつと積み重ねてきたパティーナは、100年の経年によってのみ生み出されるものであり、新たな塗装によって再現することはできません。
当店は、“いまここにあるアンティークらしさ”を楽しんで頂きたいという思いから、あれもこれも一様に再塗装する必要は無いと考えています。
一様に再塗装する必要は無いと書きましたが、決して再塗装そのものが悪いということではありません。
傷んだところを繕ったり塗り直して、“いま”に至っているわけです。
モノである以上、時間の経過により品質が低下することもあります。
そういう意味では、修理や再塗装はアンティークへと達する、移り変わりの一面とも言えます。
当店でも、お客様のご要望・ご使用環境に応じて、伝統的フレンチポリッシュ塗装から、耐久力の高いウレタン塗装までの再塗装の施工や提案も行っています。
オリジナルの趣きは大切にしつつも、これから先へ受け継いでいくためには再塗装をすることができる環境は必要です。
メンテナンスはしっかりと
時間を経てきたことの美点がパティーナであるならば、時間を経てきたことの難点が傷みや汚れなどのダメージです。
汚れとパティーナはあくまでも別ものですし、グラグラやガタガタでもいけません。
現代の生活空間で使用するモノである以上は、実用できるだけのコンディションが確保されていなければなりません。
当店の商品はすべて、アンティークらしさと実用性を両立したメンテナンスを施しております。
もちろん、販売後のアフターフォローとしての修理・修復の体制も整えています。ご要望とあらば、脚部のカット~リメイク・カスタムなどの加工なども承ります。
そういった施工の際の、細部への思い入れは強く持っています。
例えば、安易にエアブラシでラッカー塗装を施したり、電動工具でプラスネジを打ち込んだりはしません。
塗装は昔ながらの手塗りですし、ネジ止め箇所には、当時と同じ真鍮や鉄で出来たマイナスネジを手もみします。
椅子の生地を張り替える際には、ホッチキスのようなステップラーは使いません。
どれも時間のかかる選択なので、いまで言うコスパは良くないのかもしれませんが、手仕事の価値はあると信じて実践しています。
歴史への参加を愉しむ
アンティークの愉しみかたに、「歴史への参加」という考え方があります。
自分が生まれるよりも前に作り出されたモノが、 様々な人の愛着や想い出などを折り重ねながら、
永い時間のなかを受け継がれ、 いまや遠く離れて自分の手元に巡ってきた。そんな、縁、運、つながり、かかわり。
まるで先人から渡されたバトンを受け取り、そして次代に引き継いで行くかのように、自分もモノを介して歴史に参加している・・・という考え方です。
アンティークにそんな想いを馳せてみてください。
「アンティーク」は、古い時代の価値のある品物を指し、
「デジャヴ」は、実際は一度も体験したことがないのに、すでにどこかで体験したことのように感じる現象を表します。
アンティークデジャヴという屋号には、古今という時間の流れと、東西という空間の広がりを飛び越えてきたモノとの出会いを
ご提供したいという想いで名付けました。
過去の雰囲気や価値観で育まれた品々が、現代を生きるお客様の前に再び現れたかのような既視感を抱いて頂ければ嬉しいです。